アジア不動産投資市場の最新動向

アジア不動産投資市場の最新動向

アジアの不動産投資市場は近年活況を呈し、投資家意欲にも著しい改善が見られている。

 

アジア経済の金融危機以降の回復の下支えとなったのは、各国政府の量的緩和政策や流動性供給等景気回復への臨機応変な政策および、巨大な人口を抱える中国の国内消費の急成長であった。これが危機の衝撃を和らげ、金融安定化につながり、不動産市場もリバウンドに転じた。

金価格

 

シーピー・リチャードエリスのアジアリサーチが四半期ごとに実施している調査によると、アジア地域における土地取引を除く不動産への直接投資は2010年第3四半期に総額180億usドル、前期比53%増となった。投資家はアジア内で流動性の高い安定した市場への投資を追求した結果、香港への投資量が全体への投資量の3割、シンガポールと日本がそれぞれ2割に達している。

 

投資の多くは国内投資家によるものであるが、欧米等の機関投資家や運用会社による投資は際立って好転している。アジアREITは、TPOや取得活動が活発な一方で上場廃止や合併も相次ぐ二極化の様相を示し、上半期に活性化した投資は現在やや減速した。

 

結果、2010年最初の9ヵ月間の総投資は460億usドルと、2009年同期と比べ倍増した。この間、外国人投資家による総投資取引高は85億usドルとなったが、うち52%が中国への投資であった。セクター別には、オフィスのキャピタルバリューが全般に回復の速度を増していることに後押しされ、オフィスへの投資が全体の4割を占めている。

 

「アジアはソブリン危機による不安定な時期を持ちこたえており、弱含みの経済指標や為替レートの影響、各国政府の政策動向に懸念は残るものの、今後のマーケットの見通しは明るいと考えられる。海外投資家は上半期に旺盛だった中国に加え、現在、流動性の高い香港、シンガポール、日本に強い関心を示している。2010年のアジア地域における不動産投資額は総額600億USドルに達し、2011年もこの傾向は継続する」と、シーピー・リチャードエリスアジアリサーチェグゼクティブディレクター、アンドリュー・ネスは予測している。

 

中国不動産市場はバブルではない

現在の中国不動産市場は、事業用不動産を中心に比較的安定的に推移している。住宅市場のみ近年やや上昇傾向を示しているが、これは基本的に大都市に定住した中開層の都市住宅実需によるものである。中国では、地域間所得格差の問題に現在直面しており、高度成長期の日本のような農村部から所得の高い大都市への人口集中が急ピッチで進んでいる。このため、所得増に伴う大都市の住宅需要は今後ますます高まると考えられ、住宅ブームは若干過熱傾向があるとしても、堅調な経済と定住人口の増加に伴う実需に裏打ちされたものであり、この点でドバイのような投資マネー集中による砂上のバブルとは明確に異なるといえる。

 

著名な外銀ストラテジストは「一部の過熱要素は、回復を後押しした財政・金融緩和の副作用であり、当局は現在各種規制に転じソフトランディングを狙っている。 2010年もすでに2回の住宅購入抑制政策を発表しており、住宅投資も今は鈍化方向にある]と述べている。

 

一方、中国の不動産投資市場の半分を占める事業用不動産市場は底堅い。

 

国内投資家中心に香港、台湾系も活発だ。欧米等の外資系オポチュニスティック投資家は利幅の取れない上海、北京等の一級都市から天津、重慶、南京、武漢等の二級都市に向かっている。日系投資家の積極的な進出はまだ顕在化しないが、一部商社、住宅メーカー系等、複合施設開発を行うデベロッパーは増えている。今後は金利上昇と貸出総量規制の実施可能性があるため、ポートフォリオ売却による資金調達やファンドを通じた外資資金の必要性も高まり、今まで長期保有傾向にあった資産オーナーが流動化を進める可能性が考えられ、外資の新規投資機会が拡大する」と先を読む。

 

今後の外資流人抑制等、政策の行方に応じた投資スキームが求められる不確実性は残るものの、根本的な需要が根強い中国の不動産市場には、一部報道で鄭楡されるようなバブル崩壊懸念は少なく、今後人民元切り上げも予想されることからも、長期的には安定推移する成長性の高い市場といえそうだ。